英会話不要論
すべての頁に納得してしまう一冊でした。
英会話不要論といっても、英語が不要だと言っているわけではありません。
いわゆる「英会話」に意味がないこと、結局は「学校英語」として悪役になりがちな文法、読解、和訳を避けては通れないということを分かりやすく伝えてくれます。
「(和訳ばかりの学校英語のせいで、)読み書きはできるけれど会話は苦手」と言う人には二通りいて、「英文を訳させると訳せない(読めない)、英文を書かせると書けない」人はそもそもの基礎力がなく、「和訳・英訳ならできる」という人であれば時間が解決してもらえるというような主旨の箇所があるのですが、私が仕事で触れる人たちから得た印象でも、学校英語が得意な人は、たとえば英語を使う仕事に参加した当初は会議室で石化していたとしても、(プライドを捨てられるか、というハードルを越えさえすれば)終わる頃には英語でリードできるようになることが多いようです。一方、学校英語を責めているだけの人は留学してもブロークンな英語で帰国し、少なくとも仕事では英語を使えるようにならない、ということも多々あります。
誰もが仕事で英語を使うわけではないのだから、という意見はあるかもしれませんが、少なくとも数学だって社会に出てから統計解析を理解できる基礎となる内容を教えるわけですから、私は英語も社会に出てから役に立つ理解力・発信力の基礎となる内容でよいと思っています。そして、せっかく中学・高校と勉強をするのなら、旅行英会話よりも、後から外国人と会話する際のコンテンツになるような読書体験ができる方が、きっと楽しいのではないか、とも思います。なので、英会話不要論に賛同です。