英語学習帖

日々の職場英語・生活英語メモ:ビジネスに使用する英単語や英語表現、話題になりそうな海外メディア記事を紹介しています

Hardcover vs. Softcover

www.mentalfloss.com

普段、カタカナで使っている言葉がすべて和製英語かもしれない、という恐怖症に苛まれる毎日。後天的に英語を勉強した話者には仲間も多いのではないでしょうか。

今日の安心は、ハードカバーとソフトカバーは英語。

上記リンクの記事は、なぜ、多くの人にソフトカバーが好まれるのに、必ずハードカバーが先行して出版され、1年程度が経過してからソフトカバー化されるのか、というもの。まあ、それほど驚く理由が隠されていたわけではありませんが、紹介されていた歴史が少し面白かったので。

Paperbacks revolutionized American reading habits when they first appeared in the 1930s. The softcover "pocket books" were cheaper to print, cheaper to buy, and easier to transport than the bulky hardcovers that had previously dominated bookstores. By 1960, paperbacks were the preferred book format of readers.

 (ペーパーバックは、1930年代に初めて登場し、アメリカ人の読書週間を大きく変えた。ソフトカバーの「ポケットブック」は、当時の書店を独占していた重いハードカバーに比べて、安く印刷できて安く買える、そして持ち運びやすいという利点があった。1960年には、読者の多くがペーパーバックを好むようになった)

ハードカバーを先行して発売するのは、ややコストもかかるものの高く売れるハードカバーで出版までのコストを賄うという台所事情もあれば、ハードカバーの方が出版業界の賞やレビュー対象になりやすい、図書館からの発注がかかりやすい、書店で見栄えがするなどのベネフィットもある様子。

 

Independent Online Booksellers Associationがペーパーバックの歴史を紹介している文章も面白いです。

Many references on paperbacks will tell you that the first mass-market paperback ever issued was The Good Earth, by Pearl S Buck, in 1938. Actually, of course, paperbacks have been around a lot longer than that – as early, in fact, as the 17th Century in France and Germany. In the English-speaking world James Fenimore Cooper was writing frontier stories published in paperback-like format as far back as 1823, soon to be followed by a host of imitators. (中略) Probably the first true mass-market paperback, though, was the so-called “Dime Novel”, which sprang into being in the 1860s.

(ペーパーバックに関する多くの文献情報から、最初に出版された大量消費市場向けのペーパーバックは1938年に発行されたパール・S・バックの『大地』である。もちろん、それより前から、実際に17世紀にはドイツやフランスでは、ペーパーバックは存在していた。英語圏では、ジェイムズ・フェニモア・クーパーが1823年にはすでにペーパーバック風の体裁でフロンティア物語を書いていたし、それに続く多くの著者もいた。(中略) とはいえ、おそらく最初の真に大衆市場向けのペーパーバックは、1860年代に出てきたダイムノベルと呼ばれるものだろう

A Short History of Paperbacks – IOBA Standard

"Dime Novel" (ダイムノベル)は、定価10セント(1ダイム)で買えることから名づけられたということなので、日本語だと三文小説という感じでしょうか。実際、小説をバカにするときに使われる表現でもあるようなので、その意味では同じかなと思いますが、実際に日本で三文で買える小説みたいなシリーズを知らないので、訳語と思ってしまって良いものか。

 

なお、日本では、岩波文庫がドイツのレクラム文庫(1867年創刊)に範をとり1927年に創刊とのこと。

https://www.iwanami.co.jp/news/n17803.html

 

人生を変えた本と本屋さん

人生を変えた本と本屋さん

 
ブックストア―ニューヨークで最も愛された書店
 

 

bamboo ceiling

www.forbes.com

You know about the "glass ceiling," the barrier that prevents women from attaining the highest roles in organizations. But have you heard of the "bamboo ceiling?"

(女性が経営ポジションに就くことを邪魔する『ガラスの天井』という言葉はご存じだろう。では、『竹の天井』はどうだろうか)

Many Asian managers today looking to make that career-defining move to executive leadership positions in large organizations or multi-national companies find that the big promotion often eludes them. These high-potential employees are being bypassed. Are they not up to par, or is there a bamboo ceiling blocking Asians from C-suites and boardrooms?

(大きな組織や多国籍企業において上級管理職へのキャリアアップを望むアジア系の管理職の多くは、そういった昇進機会が彼らには開かれていないと感じている。有望な彼らがバイパスされていると。彼らは能力が不足しているのか、それとも、アジア系の人間を最高幹部職や取締役室に就かせない竹の天井があるのだろうか)

elude (逃げる、避ける)
C-suites (最高幹部、CXO、Cクラスと訳されることが多いでしょうか。CEO/COO/CFO/CAO等の最高XX責任者の職位をまとめて指す言葉)
boardroom (重役会議室、役員室)

 

どうも、アジア系はアメリカで出世に不利なようです。

スキルが高く教育水準も高いとしても、アジア系は不利で、なかなか経営ポジションには就けないようです。ネットワーキングに参加できていないとか、性格的に主張が十分でない、強く自身のあるリーダー像を示せない、といった見方もあるようです。

特に、中国、韓国、日本といった東アジア系が不利なようで、なぜ南アジア系に比べて東アジア系はアメリカの経営職に就くうえで低く評価されがちなのか、といった論文が発表されています。

Why East Asians but not South Asians are underrepresented in leadership positions in the United States | PNAS

儒教文化圏の東アジア系は、自己主張が足りないとみられがちなようです。実際、私のチームでも、米国人>米国で生まれ育った日本人>日本人のような自己主張の強さの違いは感じます。結果、自己主張の弱い日本人にはかなり気を配らなくては機会を与えられないことも。日本における多様化が進んだ組織、程度であれば管理職にも日本人が多いから大きな問題にはなりませんが、マイノリティになったときにはかなり厳しい事態です。

ただ、自己主張をすればよいかというとそうではなく、東アジア系へのステレオタイプを考慮するとかえってマイナスになる懸念もあるという見方も。

米国で東アジア系がインド人より出世できない理由 (3ページ目):日経ビジネス電子版

 

確かに、ガラスの天井を巡る議論では、全く同じケーススタディの登場人物を、片方は男性の名前で、片方は女性の名前で作成すると、受け取った人たちは、男性の名前であれば「頼もしいリーダー、決断力がある」と評価するのに対し、女性の名前であれば「自分勝手、独善的」といった評価を下す傾向があるという実験結果を読んだことがあります。

同じように、東アジア系の人間が自己主張をアメリカ人のように行うと、何だ東アジア系のくせに生意気だ」ということになる可能性がある、と。こうした差別的な意識は、面と向かって言われず、「彼は少しわがままだ」「彼女は少し言い方が過剰だ」といったコメントに差し替えられて評価に用いられるので、なかなか正すことも難しいですし、頭の痛い問題です。

 

Doomsday Clock

www.npr.org

記事は少し古いものですが、今秋のアメリカ大統領選挙に関連する会話で出てきた話題に、"Doomsday Clock" (世界終末時計)が出てきました。

これは米国の科学誌"Bulletin of the Atomic Scientists" が毎年発表しているシンボルで、世界の出来事やリーダーシップ等の分析によって、世界が終末にどれだけ近づいているかを示すものです。あくまでもシンボルですが、分析内容から、本当に危機的状況に私たちが置かれていることがわかります。

創設された1947年に7分で始まったこの時計は、針を進めたり戻したりで一時は2分を刻みつつも、冷戦の終了によって1991年に残り17分まで戻りました。その後、再び針を進め始め、ここのところ数年は3分、2分半、2分、2分と続き、2020年の今は100秒と2分を切っているわけです。2020年の発表で私たちが直面する二大危機として挙げられたのは、核戦争と気候変動。

thebulletin.org

"we move the Clock 20 seconds closer to midnight not just because trends in our major areas of concern—nuclear weapons and climate change—have failed to improve significantly over the last two years."

(我々は時計の針を終末に向けて20秒進めた。これは、我々が懸念する二大領域である核兵器と気候変動の趨勢によるものだけでなく、過去2年にわたり状況の改善に至っていないためである)

"There are many practical, concrete steps that leaders could take—and citizens should demand—to improve the current, absolutely unacceptable state of world security affairs."

(この、世界の安全保障の問題に関するきわめて看過しがたい事態を改善するために、リーダーがなすべき、そして国民が要求するべき、多くの実践的かつ具体的なステップがある)

"The international community should begin multilateral discussions aimed at establishing norms of behavior, both domestic and international, that discourage and penalize the misuse of science."

(国際社会は、多国間の協議を通じて、各国及び国際的に、科学の誤った使用を思いとどまらせる罰則を伴う行動基準を策定するべきである)

"The global security situation is unsustainable and extremely dangerous, but that situation can be improved, if leaders seek change and citizens demand it."

(世界の安全保障は持続不可能できわめて危険な状況にあるが、リーダーたちが変革を追求し国民がそれを要求することによって状況を変えることができる)

"Now is the time to unite—and act."

(今こそ、連帯して行動する時である)

 

私は今まで、ニュースで引用された情報しか読んだことがなかったのですが、発表元のウェブサイトにて原文を読むと、宛先が"To: Leaders and citizens of the world" (世界の指導者とすべての人へ)となっているのです。大国の大統領をはじめとする政治的指導者や、行政関係者の責任も重大ですが、我々ひとりひとりの責任も当たり前にあることを再認識。そのため、メッセージはリーダーに対するものだけでなく、それを我々一般の国民も望むべきと強調されています。

 

Current Time - Bulletin of the Atomic Scientists

2019 • IT IS STILL 2 MINUTES TO MIDNIGHT

2018 • IT IS 2 MINUTES TO MIDNIGHT

2017 • IT IS TWO AND A HALF MINUTES TO MIDNIGHT

2016 • IT IS STILL 3 MINUTES TO MIDNIGHT

2015 • IT IS 3 MINUTES TO MIDNIGHT

2012 • IT IS 5 MINUTES TO MIDNIGHT

2010 • IT IS 6 MINUTES TO MIDNIGHT

2007 • IT IS 5 MINUTES TO MIDNIGHT

2002 • IT IS 7 MINUTES TO MIDNIGHT

1998 • IT IS 9 MINUTES TO MIDNIGHT

1995 • IT IS 14 MINUTES TO MIDNIGHT

1991 • IT IS 17 MINUTES TO MIDNIGHT

1947 • IT IS 7 MINUTES TO MIDNIGHT

 

核兵器のしくみ (講談社現代新書)

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