自己紹介は三人称
このブログで一番読まれている記事は"Welcome on board! - 英語学習帖"なのですが、ということは、外資系で一歩を踏み出す方がご覧になることも多いのかなと思いました。
歓迎をされたら、次は自己紹介ですね。
過去に英語の添削相談に乗っていて、割と驚かれたフォーマットが、『自己紹介文は三人称で作成する』です。
毎月の入社メンバー紹介などで顔写真と自己紹介文が回ることありますが、多くの人が三人称で作成しているようです。決まっているわけでもないのですが、客観的な感じがでるのと、自己紹介にでも他己紹介にでも使いまわしをしようと思うと三人称になるのかもしれません。
例えば、
"She has 10+ years of experience in banking" (銀行業務に10年以上の経験を有する)
- "Seasoned banker with 10+ years of experience" (10年以上の経験を有するベテランバンカー)のような人称に気を使わない書き方もあります。
"Her experience includes marketing and business development" (マーケティングと事業開発の経験があります)
急いで作ると周りと似たり寄ったりになって印象に残らないので、常日頃から用意しておくとよいですね。LinkedInで自分と似た経歴(または目標になるような経歴)の方を探して、参考にしながら準備するのがおすすめです。LinkedInでアップデートしておけば、紹介文によってヘッドハンターやリクルーターの食いつきが変わったり、紹介される案件の種類が変わったりもするので、良いアップデートだったかどうかの採点にもなりそうです。
Any question?
会社の国籍が異なっても、面接のフォーマットは割と似ています。
自己紹介、職務に関する質問(コンサルだったらケースとか)、働き方に関する意見交換、最後にQ&Aで終了。
しかし、最後のQ&Aの扱いは日本企業と海外系で少し違うかもしれない、という会話を友人とする機会がありました。といって、私たちもすべての会社を知っているわけではないので、最近あった外資系企業における面接における失敗例から、この失敗の理由として日本企業において好まれる人物像があるのではないか、という想像を多分に含みます。
ただ、これまでに私が外資系コンサルティングファームにて面接をしていて志望者の方からいただいた質問と、それに対する感想を紹介して誰かの参考になるかも、と思い少し挙げてみました。
「有給休暇は取りやすいですか?」「残業はどのくらいですか?」
個人的に、あまりお勧めしない質問です。外資系と一括りにはできませんが、私が働いてきた多くの組織では、休暇やプライベートを確保するためにタイムマネジメントする能力は個人に求められるので、こういった質問をすると、自己管理が苦手な人が多いのかな、という印象に。おそらく、日本企業では先に帰りにくいとか、そういった事情があるのかもしれませんが、そういった会社でも、この質問をすると、やる気がないのかな、という印象を与えそうな気がします。
そして、もし有給休暇の取りにくい職場だったとして、『いいえ、取りにくいです』とは答えないはずなので、想像力のなさも心配になるところです。私だったら、これを知りたければ企業口コミサイトを見るかも。
「何年目にXXに昇格・昇進できますか?」
昔は3年目に主任、10年目に課長、のような企業もあったかもしれませんが、最近は日本企業でも新卒から初任給に差があったり、一律の扱いは減っていて、日本企業でも適した質問ではないかもしれません。米国系の企業だと、従来、時が来ればmanagerに昇進するというよりは、managerの職務定義に適合する人が内部又は外部からmanagerとして採用されるので、何年目に昇格・昇進、という質問が意味をなしません。もし、将来的に管理職になりたいのであれば、「営業部門のmanagerに求められる能力はどのようなものか、sales repとして入社した場合にどのような経験を積み、どのような能力を身に着けることで近付けるか」「会計部門のmanagerはどのようなバックグラウンドを経た人が多いか」といった質問はありそうです。
「英語はどのくらい必要ですか?」
ジュニアな方に多い質問ですが、これも口コミサイトを見ては?という印象です。外資系企業であっても、英語を使う仕事ばかりではなく、英語不問で求人しているとすれば英語は一切不要な職であり、英語が必要な職であればビジネスレベル以上の英語力を求めるといった求人になるのが基本ですし。語学力に自信のない方が、安心感を得るためにしているのかもしれませんが、自己アピールにつなげられない質問は、余程のことがない限り避けたほうがお得です。
「1年目から活躍する社員に共通する入社前や入社直後の過ごし方に傾向はありますか?」
これは「入社前にどんな勉強をすると良いですか?」「どんな資格を取ると良いですか」よりもマチュアな印象を受けました。
聞いていることは同じなのですが、『自分が何をするべきか教えてください』ではなく、『自分なりにするべきことを考える参考情報をください』という、主体性の違いがあるように見えます。
ジュニアな立場であれば、「入社前にどんな勉強をすると良いですか?」「どんな資格を取ると良いですか」でも前向きさが伝わるのでマイナスにはなりません。
「部署で新しい提案をするべきか悩んだとき、どのようなアクションを取りますか?」
自分には改善を提案するモチベーションと能力がある、という自負をアピールしつつ、チームワーカーとして手順を守りたい、という柔軟な姿勢を見せるバランスの取れた質問という印象です。また、『過去のやり方』に固執して失敗する人が多いのですが、この種の人々は能力に問題があるというよりも実行プロセスのコミュニケーションで失敗することが多いため、溶け込む姿勢は面接で観たい部分だったりもします。
この質問をきっかけに『現職ではどんな提案をしていますか』とか、アピールの時間が得られる可能性もありますし。
マイノリティ?
東京大会を記念したバービーがアジア系を含まないという"inclusive"を披露して批判を浴びている、というニュースが話題ですね。
"inclusive"を表現するために、アフリカ系とラテン系を登場させてアジア系は無視、というのはよくあることですが、流石に今回は多くの人がおかしいと表明。これだけ人種に関する問題が盛り上がった直後で、イベントも東京というアジアの玄関口で開催、アメリカにも多くのアジア系が市民権を持っていたり滞在したりしている中で、この展開を疑問に思わなかった企業はある意味すごいですね。
とりあえずオーバーブッキングが起きたら日本人を探して日本人の席を他の人に譲らせる、みたいな国民性ジョークもあるように、(従順という意味で)モデルマイノリティなアジア系のイメージも影響しているのでしょうか。どうせ、批判なんてしないだろう、炎上なんてさせないだろう、と。
グローバル企業で働いていると、ブランドガイドが外部向けの発信に使うことを推奨してくるイラストや写真のセットがあるのですが、そこにもアジア系はすごく少ないです。一度おかしいのでは?と言ってはみたけれど「貴重なご意見ありがとう」で終了してしまったし。でも、大勢が声を上げるとやっぱり圧力になるものだな、と今回の件で思いました。これからも黙らずにSpeak upしていかなければ。