英語学習帖

日々の職場英語・生活英語メモ:ビジネスに使用する英単語や英語表現、話題になりそうな海外メディア記事を紹介しています

リモートワーク?テレワーク?

www.wsj.com

最近、在宅疲れなんて言葉も聞かれていますが、割と在宅勤務が浸透していそうな米国でもリモートワークはあまり良くない、という雰囲気のようです。

“I don’t think offices are dead.” (私の考えでは、オフィスは死んでいない)

ところで、私の身の回りではリモートワーク又はWFH(Work From Home)という言い方が多いのですが、宅配業者の方は挨拶をするたびに「今日はテレワークですか」と声をかけてくれます。

 

どちらかというとリモートワークの方がよく聞く単語になりつつあるような気もするのですが、調べてみるとがっつり在宅ならテレワークの方がより正しいのかも。

Remote Work or Telecommute: What's the Difference - 1MFWF

Generally speaking, telecommuting, remote work, working from home, and telework are all fairly synonymous. But there is a slight difference between them. Remote work implies that the worker lives outside of the geographic area of the company’s main headquarters or office. Telecommuting and telework can mean that there may (or may not) be some on-site work being done by the worker.

(一般論として、テレコミューティング、リモートワーク、WFHやテレワークは同じような意味を持つ。しかし、それぞれに微妙な違いもあって、リモートワークは従事者が会社の本社やオフィスから地理的に離れたところで仕事をすることを指す。テレコミューティングやテレワークは時には会社での作業をすることもある)

 

なお、テレワークは歴史のある言葉のようで、1973年には使われていたとか。

Telecommuting - Wikipedia

 

Hardcover vs. Softcover

www.mentalfloss.com

普段、カタカナで使っている言葉がすべて和製英語かもしれない、という恐怖症に苛まれる毎日。後天的に英語を勉強した話者には仲間も多いのではないでしょうか。

今日の安心は、ハードカバーとソフトカバーは英語。

上記リンクの記事は、なぜ、多くの人にソフトカバーが好まれるのに、必ずハードカバーが先行して出版され、1年程度が経過してからソフトカバー化されるのか、というもの。まあ、それほど驚く理由が隠されていたわけではありませんが、紹介されていた歴史が少し面白かったので。

Paperbacks revolutionized American reading habits when they first appeared in the 1930s. The softcover "pocket books" were cheaper to print, cheaper to buy, and easier to transport than the bulky hardcovers that had previously dominated bookstores. By 1960, paperbacks were the preferred book format of readers.

 (ペーパーバックは、1930年代に初めて登場し、アメリカ人の読書週間を大きく変えた。ソフトカバーの「ポケットブック」は、当時の書店を独占していた重いハードカバーに比べて、安く印刷できて安く買える、そして持ち運びやすいという利点があった。1960年には、読者の多くがペーパーバックを好むようになった)

ハードカバーを先行して発売するのは、ややコストもかかるものの高く売れるハードカバーで出版までのコストを賄うという台所事情もあれば、ハードカバーの方が出版業界の賞やレビュー対象になりやすい、図書館からの発注がかかりやすい、書店で見栄えがするなどのベネフィットもある様子。

 

Independent Online Booksellers Associationがペーパーバックの歴史を紹介している文章も面白いです。

Many references on paperbacks will tell you that the first mass-market paperback ever issued was The Good Earth, by Pearl S Buck, in 1938. Actually, of course, paperbacks have been around a lot longer than that – as early, in fact, as the 17th Century in France and Germany. In the English-speaking world James Fenimore Cooper was writing frontier stories published in paperback-like format as far back as 1823, soon to be followed by a host of imitators. (中略) Probably the first true mass-market paperback, though, was the so-called “Dime Novel”, which sprang into being in the 1860s.

(ペーパーバックに関する多くの文献情報から、最初に出版された大量消費市場向けのペーパーバックは1938年に発行されたパール・S・バックの『大地』である。もちろん、それより前から、実際に17世紀にはドイツやフランスでは、ペーパーバックは存在していた。英語圏では、ジェイムズ・フェニモア・クーパーが1823年にはすでにペーパーバック風の体裁でフロンティア物語を書いていたし、それに続く多くの著者もいた。(中略) とはいえ、おそらく最初の真に大衆市場向けのペーパーバックは、1860年代に出てきたダイムノベルと呼ばれるものだろう

A Short History of Paperbacks – IOBA Standard

"Dime Novel" (ダイムノベル)は、定価10セント(1ダイム)で買えることから名づけられたということなので、日本語だと三文小説という感じでしょうか。実際、小説をバカにするときに使われる表現でもあるようなので、その意味では同じかなと思いますが、実際に日本で三文で買える小説みたいなシリーズを知らないので、訳語と思ってしまって良いものか。

 

なお、日本では、岩波文庫がドイツのレクラム文庫(1867年創刊)に範をとり1927年に創刊とのこと。

https://www.iwanami.co.jp/news/n17803.html

 

人生を変えた本と本屋さん

人生を変えた本と本屋さん

 
ブックストア―ニューヨークで最も愛された書店
 

 

bamboo ceiling

www.forbes.com

You know about the "glass ceiling," the barrier that prevents women from attaining the highest roles in organizations. But have you heard of the "bamboo ceiling?"

(女性が経営ポジションに就くことを邪魔する『ガラスの天井』という言葉はご存じだろう。では、『竹の天井』はどうだろうか)

Many Asian managers today looking to make that career-defining move to executive leadership positions in large organizations or multi-national companies find that the big promotion often eludes them. These high-potential employees are being bypassed. Are they not up to par, or is there a bamboo ceiling blocking Asians from C-suites and boardrooms?

(大きな組織や多国籍企業において上級管理職へのキャリアアップを望むアジア系の管理職の多くは、そういった昇進機会が彼らには開かれていないと感じている。有望な彼らがバイパスされていると。彼らは能力が不足しているのか、それとも、アジア系の人間を最高幹部職や取締役室に就かせない竹の天井があるのだろうか)

elude (逃げる、避ける)
C-suites (最高幹部、CXO、Cクラスと訳されることが多いでしょうか。CEO/COO/CFO/CAO等の最高XX責任者の職位をまとめて指す言葉)
boardroom (重役会議室、役員室)

 

どうも、アジア系はアメリカで出世に不利なようです。

スキルが高く教育水準も高いとしても、アジア系は不利で、なかなか経営ポジションには就けないようです。ネットワーキングに参加できていないとか、性格的に主張が十分でない、強く自身のあるリーダー像を示せない、といった見方もあるようです。

特に、中国、韓国、日本といった東アジア系が不利なようで、なぜ南アジア系に比べて東アジア系はアメリカの経営職に就くうえで低く評価されがちなのか、といった論文が発表されています。

Why East Asians but not South Asians are underrepresented in leadership positions in the United States | PNAS

儒教文化圏の東アジア系は、自己主張が足りないとみられがちなようです。実際、私のチームでも、米国人>米国で生まれ育った日本人>日本人のような自己主張の強さの違いは感じます。結果、自己主張の弱い日本人にはかなり気を配らなくては機会を与えられないことも。日本における多様化が進んだ組織、程度であれば管理職にも日本人が多いから大きな問題にはなりませんが、マイノリティになったときにはかなり厳しい事態です。

ただ、自己主張をすればよいかというとそうではなく、東アジア系へのステレオタイプを考慮するとかえってマイナスになる懸念もあるという見方も。

米国で東アジア系がインド人より出世できない理由 (3ページ目):日経ビジネス電子版

 

確かに、ガラスの天井を巡る議論では、全く同じケーススタディの登場人物を、片方は男性の名前で、片方は女性の名前で作成すると、受け取った人たちは、男性の名前であれば「頼もしいリーダー、決断力がある」と評価するのに対し、女性の名前であれば「自分勝手、独善的」といった評価を下す傾向があるという実験結果を読んだことがあります。

同じように、東アジア系の人間が自己主張をアメリカ人のように行うと、何だ東アジア系のくせに生意気だ」ということになる可能性がある、と。こうした差別的な意識は、面と向かって言われず、「彼は少しわがままだ」「彼女は少し言い方が過剰だ」といったコメントに差し替えられて評価に用いられるので、なかなか正すことも難しいですし、頭の痛い問題です。