concession speech
'concession speech' (敗北宣言)
まさかのトランプ大統領。私が普段接点を持つアメリカ人は、ニューヨークやカリフォルニアで現状に満足している中年以下の男女なので、とても偏りがあるのだなとしみじみ思いました。
それにしても、大統領選挙は負けるときの演出まですごいです。毎回、敗北宣言は聞いていて涙が出ます。数あるスピーチの中、ジョンマケイン候補とヒラリークリントン候補の敗北宣言は白眉。ちなみに紫のドレス(と夫のタイ)は、赤(共和党)と青(民主党)を混ぜた色ということらしいです。深い。
お互いの人間性にまで踏み込み壮大な罵倒合戦を経ての大統領選挙なので、勝負がついたときにきちんと清算する必要があると誰もが理解しているのでしょう。
<一部抜粋>
'Our constitutional democracy enshrines the peaceful transfer of power, and we don’t just respect that, we cherish it. It also enshrines other things―the rule of law, the principle that we’re all equal in rights and dignity, and the freedom of worship and expression. We respect and cherish these things too―and we must defend them.' (私たちの立憲民主主義では平和的な権力の移行を重視し、ただそれを尊重するのではなく、大切に扱う。それは同様に他のことー法の支配、我々が平等な権利と尊厳を有し、信仰と表現の自由を持つという原則についてもである。私たちはこれらのことを尊重し大切にするとともに、守らなければならない。)
'Now, I know we have still not shattered that highest and hardest glass ceiling, but someday someone will — and hopefully sooner than we might think right now.'
(さて、私は未だに高く強固なガラスの天井を打ち破るには至らなかったことを認めざるを得ないけれど、いつか、だれかがするでしょう。そして、それが今この瞬間に私たちが考えているより早くあってほしい。)
'And to all of the little girls who are watching this, never doubt that you are valuable and powerful and deserving of every chance and opportunity in the world to pursue and achieve your own dreams.'
(それから、これを見ているすべての少女たちへ、疑わないでほしい。あなたには価値と力があり、世界のどんな機会にも挑戦できて、あなたの夢を追求し達成できることを。)
ガラスの壁を破れなかったとは言うけれど、そんなことはないと思いました。確かに、私も含め多くの人が女性が大統領になるという夢をヒラリークリントンに託し、それは叶わなかった。でも、「女性だからだめだ」という目線で彼女を見た人はもういなくて、単純に民主党のアメリカに失望している人が多かったことや、都市部エリートにしか訴求できなかったことが敗因であって、女性であることはもう意味がなくなりつつある、その状況を実現してくれた立役者の一人は間違いなくヒラリークリントンです。
遠い異国からも感謝の気持ちを。日本に女性の首相が普通に登場する時代に向けて、私も挑み続けます。